小物入れになっていた金庫

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職場には、鉄製のダイヤル式シリンダー錠の金庫がありました。
重さは500キロほどです。
開店当時から使っているので、25年ほど経過していました。

バックヤードの隅で埃を被っていたその金庫は、ダイヤルの番号が分からないため
動かせず、捨てることも出来ないので小物入れという変な使い方をされていました。
大きい割には物も入らないので、やはり金庫として使うのが最適だとは思いましたが
誰も直そうとはしませんでした。

あるとき、お店に空き巣が入る事態が起こりました。
金庫は小物入れだったので、犯人は面食らったと思います。
幸い、売上金は素人では分からない場所に置いていたので盗られませんでしたが、
今回のことでキチンと金庫を直して使ったほうが良いと決まりました。

早速、鍵の専門業者を呼んでダイヤルを解読して貰いました。
1時間ほどの作業で金庫を使えるようになりました。
こんな簡単に直るなら、早く頼めば良かったです。

それから5年ほど経ち、金庫に売上金を入れ回した瞬間でした。
ぐにゃっとした感触があり、変だなと思いながら鍵を取り出しました。
見てみると、金庫の鍵穴に鍵の棒状の部分が入り込み、取手の部分から真二つに
折れてしまいました。
売上金は明日には銀行に入金しないといけません。
就業時間はすっかり過ぎていましたが、私は針金などを使ってそっと鍵を
引き出しました。
何とか取れたので鍵はかけずに売上金を別の場所に移し、退社しました。
残念なことに、折れた鍵はメインのキーでした。
その鍵でないと合いカギは作れません。
もう、寿命ということで金庫は処分され新しい金庫を買うことになりました